“薬害”イレッサの背景

治療法不足 

がんの根治が難しい場合は、長期延命(実質的完治含む)や疼痛緩和が目的となる。 効き目や副作用には個人差があり、ある人には有効な治療法が別の人には効かない。 また、抗がん剤は、長く使っていると腫瘍が耐性を持つため、耐性後は別の治療法に切り替える必要がある。 そのため、がんの治療法は1種類では足りず、何種類もの治療法が必要になる。 しかし、がんの種類によっては、十分な種類の治療法が確立されていないことも珍しくはない。

現代医学の限界 

「この薬を飲めば立ち所にがんが治る」という薬はないし、現代医学では作れない。 人体の仕組みはほとんど解明されておらず、限定的に知り得た事実から不確実な予想を行なうしかない。 理論的に効きそうな医薬品候補物質は、まず、細胞培養実験や動物実験で篩に掛けられる。 それら篩を通過した候補物質は、人間で試される。 人間で試して効きそうであれば、医薬品の申請のための治験が行なわれる。 そして、治験で満足な成績を残した候補物質だけが、医薬品として承認される。 一部の医薬品は、事前に理論的予測が行なわれていないものもある。 例えば、狭心症治療薬のニトログリセリン偶然と誤解により発見された薬と化学構造が類似していることから治療効果が見出され、効く仕組みが解明されないまま100年以上使用されてきた。 抗がん剤においても シスプラチン,イリノテカンも,作用機序が不明確なまま,長きにわたって抗がん剤として使用されてきた トポイソメラーゼ阻害剤やチューブリン重合阻害剤,代謝措抗剤などについて,その作用機序としての標的分子が明らかとなったのは,近年の分子腫瘍学の進歩の後のことであった 東京判決第3分冊-薬害イレッサ弁護団 とされる。 現代医学の理論では、医薬品になりそうな候補物質をある程度絞り込むことはできるが、理論的に治療法を見つけることはできない。 そして、ニトログリセリンの例のように、理論的な絞り込みから外れた候補物質の中に画期的な治療薬が含まれている可能性も否定できない。 よって、現代医学では「どんな疾病も完璧に治す」ことは不可能なのである。 多くの研究者の手探りによる人海戦術により治療法を一つ一つ見つけて行くしかない。

医薬品や治療法の承認の遅れ 

欧米で承認されているにも関わらず、日本では承認されていない医薬品や治療法が沢山ある。 欧米に比べた日本の医薬品や治療法の承認の遅れをドラッグ・ラグ、デバイス・ラグと言う。 ドラッグ・ラグが生じるのは、欧米の製薬会社から見て、費用対効果的に日本の医薬品市場の魅力が欠けるからである。

  • 欧米に比べて日本では承認にお金が掛かる。
    • 米国では、最初の製造承認の時に治験を行えばよく、効能追加時には治験を求められない。
    • 日本では、効能毎に治験を行なわなければならない。
  • 日本の医薬品の薬価は欧米に比べて安い。

承認の遅れは、製薬会社に便宜を図り、申請したくなるような動機付けをすることで、少しは解消が見込めるだろう。

承認の目処がない医薬品・治療法 

永久に承認の見込みのない医薬品(ドラッグ・レス)がある。 ドラッグ・レスについては、製薬会社に便宜を図っても手遅れであり、現在、有効な対策は全く打ち出されていない。 というのも、ドラッグ・レスの対象となる古い医薬品はとっくの昔に特許が無効になっているからである。

製薬会社が「当時の制度では申請したくないが、現在の制度なら申請したい」と思っても、古い医薬品は特許が無効になっている。 ただし、特許切れ医薬品であっても、競合医薬品についての一定の制限はある。 医薬品には、最初の製造または輸入承認から5〜10年の再審査期間が設けられ、この間は、他社が同一成分の医薬品を申請する場合であっても治験なしの承認は認められない。 ただ、再審査期間中であっても、治験を行なえば競合医薬品の承認は可能であり、決して、独占販売が保証されるわけではない。 競合医薬品が出てくれば、販売数量の減少や過当競争による価格低下により、治験費用を回収できないことも十分にあり得る。 また、再審査期間は特許期間(20年、治験が必要な医薬品は最大5年延長可能)に比べると短い。 よって、特許切れ医薬品の治験を行なうことは、製薬会社にとって赤字のリスクを伴う。 慈善事業でもなければ、経営判断として、当然、赤字は避けたい。 結果として、いつまで経っても、古い医薬品については、製薬会社からの申請が出て来ないのである。

現在、治験なしの申請を認める公知申請制度があるが、それは、製造または輸入承認済みの医薬品の適応拡大にのみ認められる制度である。 製造も輸入も認められていない新規の製造または輸入申請には使えない。 厚生労働省は、製造または輸入承認されていない医薬品については、責任の所在がはっきりしないことを理由に公知申請を認めていないのである。 しかし、オリジナルの製薬会社でなくても、ジェネリック医薬品の製薬会社であっても、製造または輸入の責任を果たすことは可能なはずである。 そして、新規の製造または輸入承認についても公知申請を認めれば、確実に、ドラッグ・レスを解消できる。 オリジナルの製薬会社にとっても、ジェネリック医薬品の製薬会社にとっても、治験をしなくて良いなら申請に掛かるコストは格安であり、自社で独占できなくても十分に利益が出せるはずなのである。

特許制度の限界 

1件の特許を維持するだけでも結構なお金が掛かる。 そして、特許は各国毎に取らなければならないので、特許を取る国が増えれば、それだけ余計にお金が掛かる。 たとえば、日本の特許制度では次のような経費が必要である。

  • 出願するだけで15,000円取られる。
  • 審査請求すると168,600円+(請求項の数×4,000円)取られる。
  • 審査に通った後は毎年の特許料(登録料)を払わないと無効。
    • 登録期間が長いほど料金が上がる。
    • たとえば、1年目は2,300円+(請求項の数×200円)、10年以降は61,600円+(請求項の数×4,800円)。

医薬品の開発成功率は 候補化合物でみた成功確率はわずか11,300分の1(=0.009%) 医薬品産業ビジョン-厚生労働省 新薬の開発成功率は約6000分の1 1つの新薬をつくるのにかかる費用は?-日本製薬工業協会 とされる。 これら候補物質全ての特許を維持していたらお金が湯水の様に消えて行ってしまう。 だから、承認の見込みのない候補物質はさっさと権利放棄しないと巨額の損失が発生してしまう。 例えば、全ての候補物質の審査請求を行なうと、審査請求代だけで成功1例につき約10億円を要する。 例えば、100国で同じことを行なえば、1千億円も掛かってしまう。 だから、損失を防ぐため、発売予定の無い国では、出願や審査請求を見送る場合もある。 中小のベンチャー企業が開発する医薬品の場合は、自国内でしか出願や審査請求を行なわないことも少なくないだろう。

出願や審査請求を見送った場合は数年で特許が無効になってしまう。

  • 他人に先に出願されると無効(パリ条約により、他国の出願から1年以内であれば優先権が認められる)。
  • 公知になってから出願しても無効(パリ条約により、論文掲載や他国の出願内容の公表による場合等は1年以内であれば出願が認められる)。
  • 出願してから3年以内に審査請求しないと無効(以前は7年)。
  • 第三者の不服申立てに対して負けが確定すると無効。

特許は一度でも無効になれば、再度、取ることはできない。 無効になった後に、再度、特許を取りたいと思っても手遅れなのである。 成功の見込みがないと判断して特許権を放棄した後に、成功の見込みが出てきても遅いのである。

専門医・施設不足 

日本では、欧米に比べて、抗がん剤の専門医(腫瘍内科医)、放射線医、放射線治療施設が少ない。 近年、積極的な腫瘍内科医の育成等も行なわれているが、それでも欧米に比べて数が少ない。 そのため、日本で使用可能な治療法や医薬品であっても、あまり使われずに敬遠されてきた。 結果として、満足な治療が行なわれないまま、治療法がないと言われるがん患者が沢山発生した。 治療法がないと言われた患者は、治療法を求めて彷徨うがん難民となっている。

告知問題 

日本では、長らく、患者本人にがんを告知することはタブーであった。 一方、抗がん剤や放射線等の治療を行なうと、これらに特有の副作用があるため、患者にがんだと悟られないようにすることが難しい。 そのため、日本のがん医療は長らく手術偏重で、抗がん剤や放射線療法などは、隅に追いやられて細々としか行なわれて来なかった。 ドラッグ・ラグやドラッグ・レスが放置されてきたのも、手術偏重主義の悪影響である。 そして、その弊害で、がん難民が産まれたのである。 多数のがん難民が発生したからこそ、多数の医師や患者が「夢の新薬」に飛びつきたくなったのである。 こうしたがん難民問題こそがイレッサ需要増大の主原因であり、それは誰が悪いとか特定の個人の責任ではない。

似非“治療”法の横行 

明らかに倫理に反するインチキ“治療”法を実践する医師によるイレッサ使用例も少なくない。 治療データを捏造して逮捕された近畿大学の某元教授のインチキ診療所でもイレッサを使っていたまさか自分に当たるなんて 癌掲示板-イレッサと副作用 と主張した自称医師も、似非“治療”法を実践する医師と同様に、非科学的な“根拠”で似非“治療”法を推奨していた。

能書探してきてがたがた言ってた医者なんだけど。
たまたまアガリスク自分で飲んでみた。あと、medline引いてみた。
どうも効果有りそう。論文上も。臨床的に生存期間延長するのとはすこし距離があるのか
無いのか知らないが。少なくとも良い方向に後押ししてくれるだろうと確信した。
自分での効果:
ケロイド状になりかかって変な細胞が生えてきそうな古傷が縮小した。(たぶん抗腫瘍効果の一環だろう)
悩んでいた前立腺炎が軽快した(抗真菌感染=抗腫瘍、の効果?)
カビやキノコに対する細胞性免疫と腫瘍撃退する細胞性免疫って似てるから。
キノコ食べて免疫賦活、ってあながち嘘じゃないかも。
安いもんだし試してみても良いんでは?
癌掲示板-イレッサと副作用(http://gankeijiban.com/bbs/read.cgi?bbs=020mune&key=1005825428&st=528&to=528&nofirst=true)

次のような自称医師(その正体はセカンドオピニオンWebサイトの主催者であるとの噂があるが真相は定かでない)の証言もある。

私も調べました
投稿者: nored22
残念ながら自由診療をうたう医療機関にてそうしたイレッサの適切でない投与があるようです。
血管内治療をうたう横浜の某クリ二ック、あるいは横浜コンF病院、その他ぞろぞろあります。
癌-Yahoo!掲示板

“治療”法の使用数の実態がつかめないので仮定でしか言えないのだが、もしも、インチキ“治療”のせいで大量の副作用死が産まれたのであれば、その責任を国や製薬会社に押しつけるのは間違っている。

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