イレッサ声明文案下書き問題(世論誘導)

声明文案 

マスコミは、厚生労働省の担当者が日本医学会に声明文案を手渡して声明を発表するよう要請したことを問題視している。 確かに、声明文案を提供した厚生労働省の担当者の心中には、声明文案の通りの内容で発表して欲しいという願いがあったのは事実だろう。 しかし、声明文案を採用するか否かも含め、全ての発言内容が当事者の自由意思に委ねられていたのであれば、一体、何が問題なのか。 公僕としての中立性を疑われると言われれば確かにそうだが、そんなに大騒ぎするほどの問題だろうか。 自由意志の発言を前提としての要請ならば、厚生労働省の意に反する声明内容になった可能性もあるはずである。 特定の方向の発言を強要していないなら、声明文案は、単なる余計なお世話以上でも以下でもない。

日本医学会の高久会長は 考えが違う部分もあったので、見解は独自に作成した イレッサ訴訟 厚労省が医学会に働きかけ 和解勧告批判の文案作成-MSN産経ニュース 私の見解は独自に作成しており イレッサ副作用死:投薬訴訟 国が声明文案提供 医学会に「和解勧告を懸念」-毎日新聞 と言っている。 それが真実ならば、少なくとも、高久会長は、自身の見解を述べただけであろう。 翻意を強要されたわけでもなければ、心にもないことを言ったりしたわけではない。

原告は次の様に主張するが、詭弁を弄して国の主張を歪めているのは原告の方であって、日本医学会等が発表した声明文の内容には何らおかしな所はない。

  • 国が裁判所の和解勧告を不当に歪めている
  • 日本医学会等も同様に和解勧告を歪めているのは不自然だ
  • 主張が不自然なまでに類似しているのは下書きを丸写ししたからだ

国の主張は和解勧告に対する当然の懸念であるから、日本医学会等が同様の懸念を持つことは何ら不思議なことではない。

マスゴミ報道の下書き疑惑 

それに比べて原告の詭弁報道機関による偏向報道の方が、遥かに、酷い。 原告も報道機関も、原告がイレッサの承認が不当だと主張している事実裁判所の独自判断ではなく原告から和解勧告を要請した事実裁判所が原告の主張を悉く退けた事実等を故意に歪め、訴訟対象患者の医師の明らかな過失についても検証すらせず、国や製薬会社の過失をでっち上げて、インチキなプロパガンダを繰り返している。 そして、原告も報道機関も、何処にも不自然な所のない日本医学会等の声明文に対して、事実を歪曲して言い掛かりをつけている。 マスゴミの方こそ、原告の書いた下書きを丸写しして報道しているのではないか。 声明文案のような重箱の隅の責任を追及するなら、その前に、こうした重大なプロパガンダ(世論誘導)の責任を真っ先に追及すべきだろう。

人の振り見て我が振り直せ! 

「夢の新薬だと大々的に宣伝したのはマスコミではないか」と言う人もいる。 しかし、それは、イレッサ薬害の主要な原因ではない。 とはいえ、原告の詭弁マスコミのプロパガンダ(世論誘導)のように、医師が管理する医療用医薬品に素人基準を持ち込むなら、マスコミによる宣伝は主要原因の1つになるはずである。 その意味では、自分のことを棚に上げて、国や製薬会社の過失責任をでっち上げるマスコミの罪は重い。

調査報告  

概要 

A学会B学会C学会D学会E学会F学会
要請要請のみ要請のみ声明文案提供声明文案提供接触のみ声明文案提供
見解学会見解公表学会見解公表個人見解公表見解公表せず見解公表せず学会見解公表

イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書概要-厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf-att/2r9852000001dbp7.pdf)

学会名が明らかにされていないのが残念であるが、2学会は声明文案の提供なしに声明を表明している。 これは、報告書本文の「これらの学会の理事レベルでは、上記職員らが接触する前の時点から、イレッサ訴訟の和解勧告の受諾について慎重な意見が多数を占めていた」「各学会が、既存の理事レベルの多数意見を取り纏め、当該学会の見解として公表した」を裏付ける事実だろう。

○厚生労働省の職員が、複数の学会・個人に対して、関連資料や自ら作成した声明文案を提供するなどして、受諾に慎重な見解の表明を要請した、という事実はあった。
○学会等に見解の公表を求めることは、国民に対し、多様な意見が存在することを示し、かつ、厚生労働省の従前の施策に対する信頼感を高めようとするもので、 通常の職務の執行の範囲内であると考える。また、働きかけた結果、公表された見解自体に不当な影響力を及ぼしたとは認められない。
○しかし、本来、学会で独自に作成するべき声明文案まで提供するのは、過剰なサービスであったと言わざるを得ない。 また、声明文案の提供は、各学会が独立して行うべき内部意思決定過程に介入したことになるのではないかと考えられる。
○よって、一部の学会や個人に対し、自ら作成した声明文案を提供して見解の表明を要請したことについては、公務員としては行き過ぎた行為であったといわざるを得ない。
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書概要-厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf-att/2r9852000001dbp7.pdf)

報告書本文の内容も含めてまとめると認定事実は次のとおりとなる。

  • 医薬食品局長主催の局議において、翌週前半までに見解を公表するよう学会に要請する方針が決められた。
  • 一部の厚生労働省職員が独断で一部学会に声明文案を渡していた。
  • 働きかけは、和解勧告の受諾に慎重な意見が多いと思われる学会に対して行なわれた。
  • 働きかけた学会の理事レベルでは、厚生労働省職員らが接触する前から、和解勧告の受諾について慎重な意見が多数を占めていた。
  • 声明文案を提供した厚生労働省職員ら側も、受け取った学会側も、特段圧力を意識していなかった。
  • 公表された見解は、各学会の理事レベルの多数意見を取りまとめたものか、もともと和解勧告の受諾に慎重な意見を有していた個人の意見である。

そして、結論は次のとおりとなる。

  • 働きかけは、多様な意見が存在することを示し、かつ、従前の施策に対する信頼感を高めようとするためであり、圧力を伴わない限り通常の職務の執行の範囲内である。
  • 結果として圧力はなかった(双方に圧力の認識がなかった)ので、公表された見解内容には影響力を及ぼしていない。
  • 声明文案の提供は内部介入(圧力)になりかねないので行き過ぎた行為である。

平たく言い直すと次のとおりとなる。

  • 働きかけの目的は、国民の治療機会を守る(という大義名分の「従前の施策」の)ためであるので「国民全体の奉仕者であり、常に公正に職務を執行すべき義務」に違反しない。
  • 学会の見解内容を変更させるような圧力を加えずに、ただ、見解を公表するように要請しただけであり、要請そのものは問題がない。
  • ただし、声明文案の提供は、圧力を加えたと疑われるような行為なので、要請の方法としては不適切である。

ようするに、国民から疑われるような方法をとったことは不適切であるが、それ以外は何らも問題がないということである。 つまり、「李下に冠を正さず」ということ。 これは、事実に即した極めて妥当な判断だろう。

認定した事実 

(3)厚生労働省医薬食品局は、同月19日夕方の新聞夕刊(資料1)に、和解勧告を受諾するべきであるとの土井意見が掲載されたことを契機として、 医薬食品局長主宰の局議において、和解勧告の受諾に積極的な意見が多数を占めるメディア対策として、慎重な意見が多いと思われる学会等に対し、 翌週前半までに見解を公表するよう要請するべきであり、そのためには、各自の能力に応じて、やれることは何でもやるべきであるとの方針がまとまった。 かかる方針に基づき、同局の職員らが中心となって、特定の学会などへの働きかけを開始することになった。
(4)同月19日夕方、厚生労働省医薬食品局甲室長は、(3)記載の方針に基づき、別件でA学会のア氏に電話した際、同学会の和解勧告に対する意見を聞いた。 同学会としては、和解勧告の受諾に懸念を表す声明を出す予定との回答だったので、同学会の見解を聞かせて欲しいと要請した。
(5)同月19日夕方、医薬食品局甲室長は、(3)記載の方針に基づき、B学会のイ氏に電話し、同学会の和解勧告に対する見解を確認した。 イ氏個人としては、受諾に慎重な意見あり、厚生労働省の要請書があれば同学会として対応するとの回答だったでので、同日夜、上司の安全対策課長とともに同課長名義の要請書を作成した。
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書-厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf-att/2r9852000001dbre.pdf)


(8)同月20日、医薬食品局甲室長と乙職員は、(3)記載の方針に基づき、D学会ウ氏と面談し、D学会の和解勧告に対する見解を確認した。 ウ氏個人としては、和解勧告の受諾に慎重な意見という回答だったでので、論点表(資料3)、和解勧告およびC学会名義の上記声明文案を示し、D学会として見解を公表するよう要請した。 また、両名は、上記面談後、で同学会関係者エ氏とも面談したところ、エ氏個人としては、和解勧告の受諾に慎重な意見という回答だったでので、上記資料を示した上で、見解を公表するよう要請した。
(9)同月21日大臣官房審議官(医薬担当)と医薬食品局甲室長は、(3)記載の方針に基づき、C学会オ氏と面談し、論点表、和解勧告およびC学会名義の上記声明文案を示し、同学会として見解を公表するよう要請した。 オ氏としては、既に他の団体から和解勧告の受諾に慎重な見解の公表を要請されていたところ、厚生労働省の職員からも同様の要請を受けたことから、個人としてなら和解勧告の受諾に慎重な見解を出せるかもしれないと回答した。
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書-厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf-att/2r9852000001dbre.pdf)


(11)同月21日、保険局丙職員は、E学会が和解勧告に関する見解の発表を準備中であるとの情報を得た事務次官の指示に基づき、E学会力氏に対し、同学会の和解勧告に対する見解の表明の時期を確認した。 同学会としては、和解勧告の受諾に慎重な見解の公表又は記者会見の予定があるとの回答だったが、結局、同学会はこれを公表しなかった。
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書-厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf-att/2r9852000001dbre.pdf)


(14)同月26日 F学会のキ氏は、学会関係者から学会として和解勧告に関して見解を出すべきであると要請されていたことから、別件で医薬食品局甲室長に架電した際、同室長に対し、和解勧告に関する関係資料の送付を依頼した。 かかる依頼を受けた同室長は、(3)記載の方針に基づき、キ氏に対し、見解の早期公表を要請した後、声明文案(資料4)、G患者の会の見解、C学会のオ氏のメルマガ上の見解、H法人の見解を送付した。
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書-厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf-att/2r9852000001dbre.pdf)

以上、表にまとめると次のとおり。

態度
F学会のキ氏自分から厚生労働省に資料を要求した。
A学会のア氏、E学会力氏自発的に和解受諾に懸念を表す声明を出す予定だった。
B学会のイ氏元から和解受諾には慎重で、厚生労働省から要請があれば声明を出しても良い。
D学会ウ氏、D学会エ氏元から和解受諾には慎重だが、声明等の意思表示はなし。
C学会オ氏元々の意見は不明。

以上のとおり、C学会オ氏については元々の意見は不明だが、他の人達は全て自発的に和解受諾に否定的な見解を持っていた。

考察 

(2)メディア対策について
まず、3(認定した事実)の(3)および本件職員らの供述などによれば、本件職員らの行為の目的は、和解勧告の受諾に積極的な意見が多数を占めるメディア対策として、 慎重な意見が多いと思われる複数の学会に対して見解の公表を求めることにより、国民に対し、多様な意見が存在することを示し、かつ、厚生労働省の従前の施策に対する信頼感を高めるところにあったと認定することができる。
そこで、そもそも厚生労働省の職員が、自省の利益の観点からメディア対策を行うことは、公務員としての公正な職務の執行といえるのか問題となる。
この点、厚生労働省の職員は、被告国側の一員として、訴訟における一方当事者性が認められるから、本件職員らが、訴訟において、従前の施策の適法性を主張すると共に、国民一般に対して、従前の施策の正当性を広報し、その信頼感を高めようすることは、通常の職務の執行の範囲内であると思われる。
したがって、本件職員らの行為の目的が上記のところにあり、かつ、本件職員らが、学会などに対し、不適切な方法で接触していたとか、不当な影響力ないし圧力を及ぼしていたなど、他に特段の事情が認められない限り、本件職員らの行為が、その目的ゆえに直ちに不当であったということはできない。
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書-厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf-att/2r9852000001dbre.pdf)

まとめると、次の2つが両立しない限り、「その目的ゆえに直ちに不当であったということはできない」としている。

  • 「厚生労働省の職員が、自省の利益の観点からメディア対策を行う」
  • 「本件職員らが、学会などに対し、不適切な方法で接触していたとか、不当な影響力ないし圧力を及ぼしていたなど、他に特段の事情が認められ」る

(3)声明文案の提供について
次に、3(認定した事実)の(8)、(9)および(14)ならびに本件職員らの供述などによると、本件職員らのうちの一部職員らは、C学会、D学会およびF学会に対し、 それぞれ和解勧告に懸念を示す声明文案を提供して、各学会の見解の公表を要請したことが認められるところ、かかる方法は、公正な職務の執行としてふさわしい範囲を超えているのではないか問題となる。
この点、一般に、厚生労働省の職員は、日常の業務として、会議の進行次第やあいさつ文の下書等を準備して外部の委員に提供しており、上記職員らが声明文案を提供した行為も、作業としてはこれらと同様であること、 多忙で著名な先生方に極めて短期間で見解をまとめて表明してもらうためには、その下書きを含め、相当な準備をして依頼しなければならなかったこと、 声明文案はあくまでイメージであり、提供した一部職員ら側も、受け取った学会側も、特段圧力を意識していなかったことなどから、かかる方法も、公務の執行として、ふさわしい範囲を逸脱してはいないのではないかとも考えられる。
しかし、会議の進行次第はあくまで形式的な書面であり、あいさつ文も、一般的には厚生労働省の立場を説明する場合に利用されるものである。 ところが、今回、上記職員らが持参した声明文案は、本来、各学会が、その内部規律に基づき、当該学会のものとして、独自に作成するべきものであるから明らかに書面としての性質が異なる。
また、確かに、3(認定した事実)の(3)および本件職員らの供述などによれば、各学会に見解を公表して欲しい時期が切迫していたことから、上記職員らは、各人の能力に応じて何でもやるように要請されていたことが認められ、そのことが、上記職員らに著しいプレッシャーになっていたことは理解できる。 しかし、かかる事情は、厚生労働省側の都合でしがないから、そのことを理由として、上記職員らの行為の社会的な相当性を説明することはできないと思われる。 上記職員らが、本来、各学会で独自に作成するべき声明文案まで作成して提供することは、過剰なサービスであったといわざるを得ない。
さらに、本件職員らや学会の理事らの供述などによれば、当事者間では、提供した声明文案はあくまでイメージであり、何らの圧力も意識されていなかったと認められる。 しかし、提供した声明文案が利用されている以上、上記職員らによる声明文案の提供は、各学会が独立して行うべき内部意思決定過程に介入したことになるのではないかと考えられる。
なお、C学会のオ氏に提供した声明文案は、C学会名義であるのに対し、D学会のウ氏やエ氏に提供した声明文案は、C学会名義である。 また、F学会のキ氏に提供した声明文案は、名義は示されていない。 しかし、いずれも、本来、各学会において独白に作成するべき文書である点で同質であるから、声明文案に各学会の名義をいれていたかどうかにより判断が分かれる問題ではないと思われる。
したがって、これらを総合的に考慮すると、上記職員らが、声明文案を提供して見解の表明を依頼することは、上記職員らに酌むべき事情が認められるとしても、それが各学会において独自に作成するべき性質の文書である以上、要請の方法としては不適切であったといわざるを得ない。
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書-厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf-att/2r9852000001dbre.pdf)

これは、最後の段落にまとめられたとおりである。

(4)学会などに与えた影響について
さらに、3(認定した事実)の(5)、(6)および(13)ならびに本件職員らの供述などによると、本件職員らのうちの一部職員らが、A学会とB学会に対し、慎重な見解の公表を求める趣旨で要請書と資料を送付し、その結果、これらの学会から慎重な見解が公表されている。 また、同(12)、(13)および(16)に記載した学会及び個人の見解の中身を検討してみると、本件職員らのうちの一部職員らがC学会とF学会に対して提供した声明文案の文言の一部が、そのままオ氏個人とF学会の見解中に採用されている。 その上、ある学会関係者からは、本件職員らの働きかけがなかったならば、見解を公表したかどうか判らないといった供述もあったところである。 これらから、当該職員らの上記行為が、各学会及び個人の見解に対し、ある程度の影響ないし効果を及ぼしたことは否定できないと思われるが、それが適正な職務の執行の範囲を超え、各見解に対し、不当な影響力ないし圧力を及ぼしていたといえるのか問題となる。
この点、検証チームの調査によると、上記職員らが接触した学会は、厚生労働省から独立して運営されており、同省が許認可権や研究費などにより影響力を行使できる相手ではないこと、 これらの学会の理事レベルでは、上記職員らが接触する前の時点から、イレッサ訴訟の和解勧告の受諾について慎重な意見が多数を占めていたこと、 確かに上記職員らから各学会の理事に対し資料、要請書、声明文案などが提供されてはいるが、当事者問では何らの圧力も意識されていなかったことなどを認めることができる。 そうすると、今回は、各学会が、既存の理事レベルの多数意見を取り纏め、当該学会の見解として公表したか、もともと和解勧告の受諾に慎重な意見を有していた個人が、当該個人としての見解を公表したに過ぎなかったと考えることができる。
したがって、これらの調査結果を踏まえると、上記職員らの働きかけの効果として、各学会や個人の見解自体に不当な影響力ないし圧力が及んでいたとまで断定することはできない。
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書-厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf-att/2r9852000001dbre.pdf)

ここで重要な点は「これらの学会の理事レベルでは、上記職員らが接触する前の時点から、イレッサ訴訟の和解勧告の受諾について慎重な意見が多数を占めていた」ことである。 つまり、「本件職員らの働きかけがなかったならば、見解を公表したかどうか判らない」とした学会も、「本件職員らの働きかけ」によって意見を変更したわけではない。 「本件職員らの働きかけ」の影響は、見解の公表に消極的だったものが見解の公表に踏み切ったという程度でしかない。

(5)まとめ
よって、検証チームとしては、本件職員らが、和解勧告の受諾に積極的な意見が多数を占めるメディア対策として、慎重な意見が多いと思われる複数の学会に対して見解の公表を求めることにより、 国民に対し、多様な意見が存在することを示し、かつ、厚生労働省の従前の施策に対する信頼感を高めようとすることは、通常の職務の執行の範囲内であったと認めることができる。
また、本件職員らのうちの一部職員らが、学会や個人に働きかけをした結果、学会や個人から公表された見解自体に、不当な影響力ないし圧力が及んでいたとは認められない。
しかし、本件職員らのうちの一部職員らが、一部の学会や個人に対し、自ら作成した声明文案を提供して見解の表明を要請したことについては、本来、各学会や個人が独立して作成するべき書面であったという点において過剰なサービスであり、 各学会や個人が独立して行うべき内部意思決定過程に介入したことにもなるのであって、公務員としては行き過ぎた行為であったといわざるを得ないところである。
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書-厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001dblf-att/2r9852000001dbre.pdf)

事実認定からすれば、この結論は当然の帰結だろう。 本件において「多様な意見が存在することを示し、かつ、厚生労働省の従前の施策に対する信頼感を高めようとすること」はがん患者の治療法確保の為に必要なことであり「通常の職務の執行の範囲内」と認定することは妥当な判断である。 その方法として「公務員としては行き過ぎた行為」であったかも知れないが、だからと言って「多様な意見が存在することを示し、かつ、厚生労働省の従前の施策に対する信頼感を高めようとすること」の妥当性が否定されるわけではない。

原告の詭弁 

報告書を受け、イレッサ訴訟の弁護団が厚労省で会見し「裏で学会に見解の公表を求め、世論を誘導しようとした行為を『通常の職務の範囲内』としたことは全く理解できない。外部委員の再調査が必要だ」と批判した。
イレッサ:和解勧告批判文案で幹部ら処分…厚労省-毎日新聞(http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110525k0000m010084000c.html)

弁護団は訴訟を有利に導くため、「世論を誘導」したかのように世論を誘導したいのだろう。 しかし、他の患者に不利益を及ぼすような詭弁戦術を用いる弁護団がこのようなことを言っても白々しいだけである。

にもかかわらず、調査報告書は、「考察」において、厚労省の職員が、自省の利益の観点からメディア対策を行うために、学会等に見解の公表を求めたことは「通常の職務執行の範囲内」であり、 また働きかけの結果、「公表された見解自体に不当な影響力が及んでいたとまでは認められない」とし、『下書き』の提供についても、「過剰なサービス」であり「行き過ぎた行為」であったとするにとどまっている。
いわゆる『下書き』提供問題調査報告書に対する声明-薬害イレッサ弁護団(http://iressa.sakura.ne.jp/jump.cgi?iressabengodan.com/topics/docs/%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%86%E3%82%8B%E3%80%8E%E4%B8%8B%E6%9B%B8%E3%81%8D%E3%80%8F%E6%8F%90%E4%BE%9B%E5%95%8F%E9%A1%8C%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A3%B0%E6%98%8E.pdf)

あたかも、調査報告書「自省の利益の観点からメディア対策を行うために、学会等に見解の公表を求めた」と認定されたかのように書いてあるが、これは、真っ赤な嘘である。 確かに、 自省の利益の観点からメディア対策を行うことは、公務員としての公正な職務の執行といえるのか問題となる イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書-厚生労働省 とする記述はある。 しかし、これは、「公務員としての公正な職務の執行といえるのか」を判断する基準として、「自省の利益の観点からメディア対策を行」ったとしても、「その目的ゆえに直ちに不当であったということはできない」としているだけに過ぎない。 これは、前提事項としての判断基準について述べているだけであって、事実関係として「自省の利益の観点からメディア対策を行うために、学会等に見解の公表を求めた」と認定したわけではない。 むしろ、その直前の段落(数行前)に、下書きを提供した目的として 3(認定した事実)の(3)および本件職員らの供述などによれば、本件職員らの行為の目的は、和解勧告の受諾に積極的な意見が多数を占めるメディア対策として、慎重な意見が多いと思われる複数の学会に対して見解の公表を求めることにより、国民に対し、多様な意見が存在することを示し、かつ、厚生労働省の従前の施策に対する信頼感を高めるところにあったと認定することができる イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書-厚生労働省 とはっきりと明記してあるのである。 よって、「自省の利益の観点からメディア対策を行うために、学会等に見解の公表を求めた」は、原告団による完全な捏造である。

尚、性懲りもなく、日本経済新聞は原告の下書きを検証せずにそのまま掲載している。 今回は、他の新聞は、記者自ら調査報告書に目を通して記事を書いていることが伺える。 しかし、日本経済新聞だけは、あいかわらず、原告のプロパガンダ誌に成り下がっている。 日本経済新聞の記者は調査報告書を自分で読まないのだろうか。

このような評価は、常識に反し、到底受け入れられるものではない。 調査報告書には、厚労省が国民全体の利益を守るべき公共の立場にあるという視点が欠落しており、 また、本件訴訟があたかもがん患者全体の利益に反するかのような世論誘導を行い、被害者である原告に二重の苦しみを与えたことに対する反省は全く見られない。
いわゆる『下書き』提供問題調査報告書に対する声明-薬害イレッサ弁護団(http://iressa.sakura.ne.jp/jump.cgi?iressabengodan.com/topics/docs/%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%86%E3%82%8B%E3%80%8E%E4%B8%8B%E6%9B%B8%E3%81%8D%E3%80%8F%E6%8F%90%E4%BE%9B%E5%95%8F%E9%A1%8C%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A3%B0%E6%98%8E.pdf)

「本件訴訟」が「がん患者全体の利益に反する」ことは疑う余地がない事実であり、それは、弁護団がそのような訴訟戦術を用いているからである。 それに対して、厚生労働省が「学会等に見解の公表を求めた」ことは、「自省の利益の観点」とは無関係な「国民全体の利益を守るべき公共の立場にあるという視点」によって行なわれたのである。 これを「通常の職務執行の範囲内」と認定したことは極めて妥当な判断である。

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