患者団体から総スカンのイレッサ原告

支持者は市民団体と医師団体のみ 

原告を支持すると表明しているのは、市民団体と医師団体のみで、患者団体で原告の支持を明言した団体は見当たらない。 これらの市民団体と医師団体が原告を支持するのは、その団体の性質を考えれば当然であろう。

  • 医師団体は国や製薬会社に責任を押しつけたいから、当然、国や製薬会社だけの責任を問う原告を支持する。
  • 市民団体は陰謀論が大好きで政府や大企業を叩きたがるから、当然、国や製薬会社だけの責任を問う原告を支持する。

これらの市民団体と医師団体の支持を取り付けたことを大々的に公表する弁護団が、患者団体の支持を公表しないはずがない。 よって、現状では、原告は患者団体の支持を取り付けられていないと考えられる。

支持依頼疑惑 

1~2週間ほど前、私の手元にA4版の封書が届きました。 私の住所が、私の所属する患者会の事務局になっているので、見覚えの無い団体や個人からそういったものが届くのは良くあることなのですが、そういうものの大半は、健康食品の会社とか代替療法の学会からだったりするので、差出人が法律事務所というのは、ちょっと私の気を引きました。

『なんだろう・・・?』

開けてみると、イレッサの訴訟の原告弁護団だったということがわかりました。

ご丁寧に、署名にご協力を、とまで書いてある・・・・ヽ(´o`;

うちの会は、イレッサの不幸な事件に関しては、国に責任があるとするならば、イレッサを承認したことについてではなく、抗がん剤という、難しい治療薬を使用する環境を、質を保証せず何年も放置してきたことにあると思っています。

国に責任があるとするならば、抗がん剤治療専門医の育成に関して、他の先進国の取り組みなどに目を向けず、全く無視し、置き去りにし、使いこなせる医師も基準も不明確なままにしてきたことに対しては、責任があると思います。

うちの会では、イレッサの承認取り消しに関しては、イレッサが著効した女性患者の会員が代表となって『取り消さないでください』という要望書を提出し、ホームページにも公開しています。

そういう活動に取り組んでいるうちの会に対し、こんなものを送りつけてくるとは・・・無神経と言うかなんと言うか・・・・。

その法律事務所が『○○会 御中』というあて先で、うちの住所に封書を送りつけてきたのは、ホームページなどから住所を割り出してきたはずです。 こんな無神経なことをするような人たちだから、困っちゃうなぁ、もう、と思います。

イレッサについて - SUNROOM

「その法律事務所が『○○会 御中』というあて先で、うちの住所に封書を送りつけてきたのは、ホームページなどから住所を割り出してきたはず」であるならば、コメント欄の 署名を送りつけてきた法律事務所は、患者会のリストを所有していたのでしょうかね イレッサについて - SUNROOM とする推測は的を射ているだろう。 ようするに、原告弁護団は、片っ端から患者団体にも支持依頼をしたのであろう。 それでも、原告を支持する患者団体は現れなかったのである。

患者団体の意見 

公式に見解を表明した患者団体は少ないが、いずれも、原告を支持していない。

日本骨髄腫患者の会 

添付文書の記載にまで踏み込んだ意見を述べているのは日本骨髄腫患者の会だけである。

イレッサ訴訟について、疑問に思うのは、イレッサは今でもがん患者にとって有効な薬であるのに、承認した国が責任を問われていることです。

報道などによると、添付文書に間質性肺炎の副作用を記載して注意喚起しているのに、裁判所の所見では、記載が目立っていなかったなどの理由で国に責任があるとされているそうです。

がんの治療薬には常にリスクがあります。その上で医師も患者も薬の使用を決めるべきで、治療の現場では日常的に行われています。 医師も読まなければいけない添付文書に書かれてある注意なのに、どうしてその承認がおかしいと言われているのか、記載の場所にばかりフォーカスがあたっていますが、患者と主治医のコミュニケーションの問題でもあるように思います。

このようなことで薬の承認が違法となれば、骨髄腫の治療薬として再承認されたサリドマイドのようなハイリスクな薬をもう2度と国は承認できなくなるのではないか、それにより、治療が受けられなくなる患者のことを考えていただいているのかと懸念しています。

私たちは、過去に薬害を起こした薬、サリドマイドを再承認してもらうために大変な苦労をしました。 またこの先も、承認を待っている治療薬や治療法があります。 これらの薬や治療法のリスクとベネフィットを医師と注意深く相談しながら私たちは命を繋いでいきます。

イレッサ訴訟の報道にふれて - 日本骨髄腫患者の会

卵巣がん体験者の会スマイリー 

そして、厚生労働省もそうだと思うんですね。 2007年10月に当時の舛添大臣がPMDA(医薬品医療機器総合機構)の方たちを増員すると言われて、大きく人が増えたと伺っています。 審査に対してものすごく力を入れてくださっていると聞いていますし......、また、ドラッグ・ラグ解消にも努力されてきたと思いますし......。

彼らから感じ取る、審査報告書から感じ取るのは、有効で安全なお薬を患者さんにきっちり届けたい。 彼らは被害を出したくて審査をしているんじゃないっていうことは、審査報告書からもうかがい知ることができました。

ちょっと踏み込みすぎの話をしているのかもしれないんですけれども、こういうことが起こることで、よくインターネット上で見るのは、何でもかんでもお上が悪い......っていうんじゃないですけれども、「厚生労働省が悪い」「何もしていないじゃないか」って言うことによって......。

彼らが、もしかしたらこのまま行くと、無意識に承認を躊躇してしまうんじゃないかっていうところを、とても私自身は危惧しています。

そして私自身、薬害肝炎の検討会などに出させていただいてヒアリングを受けたりしていますが、私たちは決して対立軸ではないのに、なんかまた比べられる時が来るんじゃないかなっていうのをすごく懸念しているんですけれども......。

一緒にお薬のことを考える存在でありたいなと思っているので、できれば......、上手に説明できないんですけれども、できれば冷静な報道とか......。

今後、和解につながるのか、そうじゃないのか分かりませんけれども、きっちりと、何が問われているのか、そして国が何を努力してきたのか、どういう患者さんがいるのかをしっかり報じていただきたいなと思っています。

イレッサ和解勧告で、国立がん研究センターが緊急会見P.7 - ロハス・メディカル


イレッサの問題を副作用と考えるほうがしっくりくるのではないのか......そう捉えずにはいられませんでした。


国は2007年10月,当時の舛添要一厚生労働大臣がドラッグ・ラグの現状を踏まえて「医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査官を増員する」と公約し,実際に審査官を増やしています。 また,「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」では,薬害被害者の皆さんが委員となり薬害の再発防止についても話し合われ,素晴らしい最終提言が作成されました。 この委員会では,PMDAの職員等にアンケートを行い,審査を行う上での問題を浮き彫りにしたことでも大きな成果があったと思われます。 これらの成果を踏まえ,国は薬害に対してどういう取り組みをしてきたのかを明確にし,今後,国民をどう守っていくのかをしっかりと国民に説明してほしいと願います。 国として行ってきた努力を説明しないと,いつまでも「薬の問題=審査が悪い(国の責任)」という印象はぬぐえないし,PMDAの審査官の承認に対する無意識の委縮を招くのではないかと心配しています。

がん臨床試験と患者の視点 - 卵巣がん体験者の会スマイリー

NPO法人グループ・ネクサス 

治療には常にリスクと利益が伴うということは言うまでもありませんが、新しい治療を求めている患者さんが必要以上にその受ける医療に制限を受けることがあってはならないと私自身は感じておりますので、安全かつ迅速な承認が阻害されることがないように、患者の1人として希望したいと思っております。

イレッサ和解勧告で、国立がん研究センターが緊急会見P.8 - ロハス・メディカル

患者団体の本音 

ganwokataruUC 患者会活動の一つに治療法の早期認可要求があるわけですが、日本では逆に認可を慎重にと要求する勢力もあり、その拠り所になってるのがイレッサ訴訟です。 患者同士でもめるのを避けたいのか、患者会にはそれに触れずに厚労省批判だけする向きもあるのですが、果たして正しい姿勢といえるのかどうか?01/15 07:51

Twitterまとめ投稿 2012/01/25 -がん患者会-NPO法人がんを語る有志の会livedoorミラーブログ

患者団体がイレッサ訴訟について意見を表明しないのは「患者同士でもめるのを避けたい」という考えもあろう。 それに加えて、患者団体はイレッサ“薬害”の見解を述べよ!で指摘したように、同情心もあろう。 他人事ではないから死人に鞭を打つような真似はできないのである。 また、可哀相な遺族に鞭を打つ真似をすれば、悪者にされかねない。

原告の詭弁 

Q 阿部:患者団体への要請をしたのか? 要請をしていた場合、その要請事項は何か? この点については、報告書には記載されていない。 報告書どうこうではなく、今、この場で応えてほしい。

A 患者団体の方から、「自分たちの見解の公表をしたいのだが、、、」と言って接触してきた、という話もある。

Q 永井:ちょっと待って下さい。 厚労省の方から接触したのではなくて、患者団体の方から接触してきたのですか?

A そういう話もある。

Q 永井:それは公式見解として述べていると受け取って良いのか? 後から別の事実が判明すれば、我々をだましたことになりますよ。 アタックリストに患者団体が入っていたのではないか?

A アタックリストに患者団体が入っているが、接触の態様としては、こちらから接触したものと、向こうから接触してきたものがある。 厚労省としては、メディア対応のために、各団体がどのような意見を有しているか情報を集めていた。

Q 阿部:患者団体にまで接触するというのはあまりにも卑劣ではないか。 患者団体としては、これまでお世話になってきた厚労省から「イレッサで和解をすればドラッグラグが解消されない」といった接触の仕方をされれば断ることができないでしょう。 非情に卑劣な行為だ。よく考えて頂きたい。

以上

2012年6月6日 厚労省交渉記録 - 薬害イレッサ弁護団

見解を公表したくて自ら接触してきた患者団体の要請を厚労省が断る理由がない。 また、厚労省が取りなしてくれるなら、患者団体の方にも見解公表を諦める理由がない。 とすると、この患者団体は「学会等」と共同で実際に見解を公表した団体であると推定できる。 これには、国立がん研究センターと共に会見を行った卵巣がん体験者の会スマイリー、NPO法人グループ・ネクサスなどがある。 自ら接触してきた患者団体とは、この何れか、あるいは、両方なのではないか。 イレッサ訴訟に関する見解公表に慎重な患者団体が多いことから考えて、「こちらから接触したもの」は見解公表を見送った可能性が高い。 つまり、実際に見解を公表した患者団体は完全に自発的に見解を公表したと考えられる。

次の2つは全く意味不明である。

  • 患者団体にまで接触するというのはあまりにも卑劣
  • 患者団体としては、これまでお世話になってきた厚労省から「イレッサで和解をすればドラッグラグが解消されない」といった接触の仕方をされれば断ることができない

患者団体に接触することの何がどう卑劣なのか全く意味不明である。 意に反した行為を強要した等の事実の指摘も何もなしに、ただ接触したことだけを採り上げて、一体、何が卑劣だというのだろうか。 原告の方こそ患者団体に接触しておいて、厚生労働省が同じことをやって、どうして、卑劣だというのだろうか。

患者団体の多くは厚生労働省に対して「これまでお世話になってきた」とは考えていないだろう。 NPO法人がんを語る有志の会が 患者同士でもめるのを避けたいのか、患者会にはそれに触れずに厚労省批判だけする向きもある Twitterまとめ投稿 2012/01/25 -がん患者会-NPO法人がんを語る有志の会livedoorミラーブログ と指摘するように、多くの患者団体にとって厚生労働省は批判する対象である。 そもそも、患者団体であれば、何よりも患者の利益を最優先するに決まっている。 患者団体である以上、患者の利益よりも厚生労働省への恩返しを優先することはあり得ない。 だから、「イレッサで和解をすればドラッグラグが解消されない」かどうかは、患者団体が自ら判断して行動を決めているはずである。 原告側は、厚生労働省の要請に患者団体が嫌々応じたことにしたいのだろう。 しかし、報復措置等によって脅しを掛けたのでもなければ、患者団体が自団体の意に反する要請を受け入れるはずがないのである。

質問の回答を載せずに「以上」としているのも疑問である。 この後の厚生労働省の回答内容は、それほど原告にとって都合の悪い内容だったのだろうか。

あと、どうでもいいことだが、自分達で作った文書なのにどうしてテキスト埋め込みPDFではなく画像取込PDFなのか、理解に苦しむ。 Wordや一太郎など多くのワープロソフトではテキスト埋め込みPDFの作成機能は標準でサポートされているはずであろう。 弁護団にはまともに文書作成できる人がいないのだろうか。


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