悪魔の薬“薬害”イレッサ訴訟

問題の本質 

一連の裁判は、イレッサを悪魔の薬に仕立て上げたい人達が、現状の薬事行政の問題点を何も理解していない一部の(東日本訴訟の原告は3人)遺族を焚きつけて、日本の薬事行政を後退させようとしているに過ぎない。 原告側が最も強く求めていることは被害者救済ではなく、医薬品としてのイレッサを潰し、イレッサのような医薬品の早期承認を阻むことにある。 原告は、怪しげな連中の口車に乗せられて、そうとは気づかずに、限られた治療法しかない難病において、治療を受ける機会を待つ患者の望みを絶とうとしているのである。 疾病の仕組等が解明されてなかったり、希少疾病の場合は、少し承認基準のハードルを下げてやらないと、いつまで経っても新しい治療法が産まれて来ない。 治療法が限られていて、かつ、予後の悪い難病においては、一秒でも早く、新しい治療法を選択肢として提示しないと、患者が死んでしまう。 原告は、そうしたケースで、多少、ハードルを下げることを、極悪行為だと糾弾しているのである。 10人の命を救っても、1人の命を削るなら、そんな治療法は認めてはいけないと言っているのである。 原告の主張が通れば、医薬品の副作用を過大評価する一方で、その効果は過小評価され、難病の治療薬候補が次々と門前払いされる。 新しい治療法を待つ難病患者を地獄に叩き落とす、それが、原告の主張なのである。

家族が死んで、誰かを恨みたい気持ちは良くわかる。 そのために、復讐の対象となる生け贄を必要とする気持ちも分かる。 今回は、それが、イレッサという薬であり、国であり、製薬会社なのだろう。 しかし、冷静になって、よく考えてもらいたい。 残された家族・親戚は、イレッサで死んだその人だけなのか。 子、孫、ひ孫、両親、兄弟、甥、姪、従姉妹、再従兄弟、全て、残された家族・親戚ではないのか。 貴方のやりたいことは、そうした残された家族・親戚が難病に冒された時に治療する機会を奪うことなのか。 悲しみの連鎖を繰り返すことが、今、やるべき復讐なのか。 陰謀を企む者達の口車に乗せられて、感情的に行動すれば、残された家族・親戚を不幸にするだけである。 どうか、そのことに気づいてもらいたい。

すい臓がんと闘いながら活動を続けていた新山会長に、ある日、会員が聞いたことがあります。
「新山さんは、病気を抱えながら、どうしてそこまでするのですか?」
すると新山会長は、孫が書いてくれたという似顔絵を見せてくれながらこう言いました。
「私が受けた苦しみを妻や娘たち、それに孫たちに味わわせたくない。自分は仕方ないとしても、次の世代には真っ当な世界標準のがん治療が受けられる道筋をつけておいてやりたい
がんと共に生きる会とは?(http://www.cancer-jp.com/about/message/18.html)

次のような患者の声も紹介しておく。

今生きのびている何万人というイレッサ患者を抹殺し、さらにこれから助かる筈の何10万人という患者見込みの命を奪おうというのでしょうか。
更に問題なのは、その弁護団の主張をそのまま記事にするマスコミが結構いるから驚きです。
記者クラブ制というのは「上から流されて来た記事をコピペする集団なのか?」ということです。
自分の頭で考えれば分かることが「マスメディアの記者クラブでは大本営発表になってしまうのかい?」という不思議な現象です。
56歳団塊退職起業-62歳がん闘病廃業+イレッサ回復日記:イレッサ裁判和解の秘密(http://blog.livedoor.jp/netatbooth/archives/51785750.html)

イレッサ訴訟の対象患者は7名であり、これは、第1回公判で原告が挙げた副作用死の人数のうちのたった1.2%に過ぎない。 ほとんどの遺族は、国を訴えるのは筋違いだと、国を訴えても何も変わらないと分かっているのである。 怪しげな連中にそそのかされ、その連中の欺瞞に気づかない一部の遺族だけが訴えているのである。

では、原告を焚きつけた人物は何者か。

「これだけ重大な副作用が出ているのに、なぜ国も製薬会社も早い段階から注意を促さなかったのか。そもそも、イレッサが承認されたのは正しかったのか?」
そんな疑問を抱いているうち、たまたま東京・銀座4丁目の交差点を歩いていたら、医薬品機構の独立行政法人化に反対する人たちの署名活動に出くわした。メンバーは薬害オンブズパーソンなど、薬害問題と取り組む弁護士や医者など。国が行ってきた医薬品の審査、安全対策、被害救済といった業務が独立行政法人化されると、国の責任があいまいとなり、民間企業への依存が強まって、新薬承認に製薬会社の影響が及びやすくなるなどの懸念を訴えていた。
○○さんは、そのとき初めて、薬剤被害をただ恨むだけでなく、国や製薬会社の責任を問う方法、すなわち裁判があることを知った。
“夢の新薬”ともてはやされたイレッサの「薬害」を裁判で問う:届け!がん患者たちの声:がんサポート情報センター(http://www.gsic.jp/society/st_05/13.html)


(3)原告側証人
  浜六郎医師(NPO法人医薬ビジランスセンター理事長)
訴訟の概要-薬害イレッサ弁護団(http://iressabengodan.com/doc/000037.html)


浜 六郎(はま・ろくろう)
1969年大阪大学医学部卒業。医師(内科・疫学)。
NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)理事長。
77年から97年まで阪南中央病院内科勤務。
1986年TIP誌(邦題「正しい治療と薬の情報」)創刊。副編集長。長年にわたり、医薬品の安全で適正な使用のための研究と情報活動に取り組んでいる。医療事故裁判の鑑定などにも関わる。
著書『薬害はなぜなくならないか』(日本評論社)の刊行を機に医薬ビジランスセンターを設立し、2000年4月NPO法人としての認証を得た。薬害オンブズパースンの活動にも協力している
理事長紹介-NPO法人医薬ビジランスセンター(http://iressa.sakura.ne.jp/jump.cgi?www.npojip.org/contents/dantai/2.html)

ネットを検索してみると、浜六郎氏がかなりのトンデモであることが分かるだろう。 糖尿病の薬を飲んではいけないとか、WHOと正反対の主張を「世界の常識」とか言ったり、とにかく、権力側のやること為すこと全て間違い…という妄想に取り憑かれている人である。 原告は、トンデモ先生の自己満足の“正義”に振り回されて、見当違いの裁判を起こしてしまったのである。

イレッサは悪魔の薬か? 

医薬品としての承認に問題がないことはイレッサの真実のとおりである。

情報提供 

イレッサ弁護団の詭弁によれば、国の情報提供が不十分だったことになっている。しかし、実際に検証してみると、国は、迅速かつ柔軟な対応をとって、薬害の拡大を未然に防いでいることが良く分かる。 しかし、実際に検証してみると、国は、迅速かつ柔軟な対応をとって、薬害の拡大を未然に防いでいることが良く分かる。 原告は、国の超ファイン・プレイを讃えようとせず、エラーをしたのはけしからんと因縁を付けているだけである。 詳細はイレッサ薬害を沈静化した国の迅速な緊急安全性情報を参照。

医師の責任 

原告は、華々しい成果をアピールした医療関係者、夢の新薬ともてはやしたマスコミ、それらに踊らされた患者や家族を批難する。 しかし、原告の裁判資料を読めば、医師の過失が主原因であることは、誰の目にも明らかである。 詳細はイレッサ訴訟原告が医師を訴えない謎を参照。

関係法令 

原告が主張する法的根拠条文は次のとおり。

製造物責任法については製造物責任法とは?で解説する。

   第五章 不法行為
(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html)


第一条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
○2  前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
国家賠償法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO125.html)

過失責任を問うには、被告の過失との因果関係の立証が必要である。

社会通念上、その行為がなければその損害が生じなかったことが認められ、かつ、そのような行為があれば通常そのような損害が生じるであろうと認められるような関係、つまり、相当因果関係(不法行為)という概念が用いられる。
(不法行為-Wikipedia)

まとめると、次の2つが両立しなければ「相当因果関係」が成立しない。

  • 被告の過失がなければ原告に損害が生じないこと(たとえば、どちらにしろ患者の余命に変化がなかったと考えられるような場合は、「その行為がなければその損害が生じなかった」とは認められない)
  • 被告の過失があれば「通常そのような損害が生じるであろうと認められる」(=その過失だけで損害が発生し得る=別の誰かの信じ難い過失が重ならなくても損害が生じ得る)。

因果関係として、どの程度の証明が必要とされるかは、東大病院ルンバール事件の最高裁判決が判例として用いられている。

訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。 昭和48(オ)517 損害賠償請求(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122014039333.pdf)

原告の最終準備書面の第1分冊と第2分冊はイレッサの一般論だけで、原告には直接関係がない。 原告に直接関係することが書かれているのは、第3分冊だけである。

  1. イレッサ投与と患者の死には因果関係がある
  2. 添付文書等の書き方が適切でなかった
  3. 医師の説明内容は十分でなかった

被告の過失と原告の損害の「相当因果関係」が成立するためには、医師の過失がなくても損害が発生することを示す必要がある。 原告側は、イレッサを悪魔の薬であるかのように主張し、それを承認したことが国の過失であると主張している。 確かに、イレッサが本当に承認してはならない悪魔の薬であるならば、医師等の過失が介在しなくても「通常そのような損害が生じるであろうと認められる」ので、「相当因果関係」は成立するだろう。 しかし、他国の承認状況と比較しても、日本が承認したことには特別おかしな所はなく、イレッサが悪魔の薬であることは証明できない。 原告が出した和解勧告を求める上申書でも、承認後の不手際を指摘しているが、承認そのものの不備については一切触れていない。 和解勧告を受けた国のコメントに関するQ&Aでも、「和解勧告は,イレッサの承認が違法である(早すぎた)と言っているのではなく」と書かれている。 よって、原告弁護団は、承認に関する過失認定は困難であると認識しているのだろう。 だから、イレッサ投与と患者の死の因果関係だけでは過失責任を問うことはできないと原告団も承知していると推定できる。

それならば、被告の過失の他に原告の損害を発生させる原因が見当たらないことを証明すれば、「高度の蓋然性」判例により因果関係の立証として十分となる。 つまり、医師の過失によって損害が発生したわけではないことを証明すれば良い。 しかし、別途検証したとおり、東日本訴訟の訴訟資料によれば、明らかに医師の重大な過失が認められる。

裁判所所見のポイント - 薬害イレッサ弁護団を良く読んでもらいたい。 あたかも、裁判所が国の責任を認めたかのように言われているが、「添付文書や説明文書は副作用に関する十分な情報が記載されていなかった」「患者らの救済を図るべき責任」とされているだけである。 裁判所は、過失の存在(既に説明したとおり、その認定にも疑問を差し挟む余地がある)と被害者を救済すべき責任を述べているだけであって、因果関係については肯定的な意見も否定的な意見も述べていないのである。

唯一の教訓 

製薬会社、マスコミ、インターネットによる「バランスを欠いた情報提供(学術記事と広告宣伝)」を真に受け、使用実績の多数ある風邪薬と全く新しい仕組みの抗がん剤を同列視して、添付文書を軽視し、重大な副作用を患者に説明をせず、経過観察を怠って適切な処置を行なわなかった、素人以下の判断・処置しか出来ない医者のせいで亡くなった患者が居たことは、原告側の用意した裁判資料から明らかである。 そうした素人以下の医者が副作用死を拡大したことは、国にとっても大いに予想外だっただろう。 ただし、定量的なデータがないため、素人以下の医者がどの程度、副作用死を増やしたかまでは定かでない。 ただ、原告のような事例を防ぐため、そうした素人以下の医者による薬害を防止する対策を検討することが“イレッサ薬害”の唯一の教訓だろう。

といっても、「素人以下の医者がいるから添付文書の書き方を改めるべきだ」とはならない。 それは明らかな本末転倒であって、本来、素人以下の医者が存在してはいけないのである。 国が為すべき再発防止策は素人以下の医者を撲滅することである。

  • 今後、素人以下の医者が産まれないよう国家試験等の制度を見直す
  • とくに酷い医者については医師免許を剥奪する
  • 全ての医師に対して医薬品の添付文書の扱いを再教育する

再教育内容は平たく言えば「医薬品の添付文書を軽視してはいけません。添付文書に書いてある副作用は全て丁寧に患者に説明しましょう。添付文書に経過観察をしろとか、異常があったら則中止しろとか、適切な処置を取れと書いてあったら、その通りにしましょう。とくに、使用実績の少ない医薬品、難病の治療に使う医薬品については、どんな些細に見えることであっても添付文書に書いてあることは重く受け止め、添付文書に書かれていない有害事象の可能性も考慮しなければなりません。何か分からないことがあったら、遠慮せず、国、製薬会社、その他、然るべき知識を持った専門家に聞きましょう。」である。 大多数の医者は「今更、何で、そんな当たり前のことを改めて教えてもらわなければならないのか」と思うだろうが、少数でも素人以下の医者による薬害が無視できず、かつ、誰がその素人以下の医者なのか正確に掴めないなら、全ての医者を対象に再教育するしかない。

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