社説イレッサ…と言う名のプロパガンダ(情報操作)

マスゴミの言い訳 

ネットで、
報道機関の論調を見ると、
いまだに原告患者よりの視点で書いている記事もありました。

先日ある週刊誌の記者が取材に来ましたが、
その時、
「マスコミは、何故、医者苛めばかりするの?」
と聞いたところ、
医療裁判の場合、
原告すなわち、
とりあえずの被害者のほうが取材がしやすいから、
どうしても原告よりの記事になってしまう。
というようなことを言っていました。

「イレッサ裁判・続き」 - 現在のガン治療の功罪~抗ガン剤治療と免疫治療

まんべんなく取材して記事を書くのが報道機関の役割だろう。 「しやすい」方だけに取材するなら素人にもできる。 そうして偏った主張をあたかも客観的事実であるかの様に報じることを偏向報道と言う。

高裁判決後の情報操作 

東京高裁判決を受けて他の大手新聞が原告のプロパガンダを止めた中で、唯一、大手で原告のプロパガンダを続けているのが毎日新聞である。 他の大手新聞は、高裁判決に不服があるような記載であるが、高裁判決を面と向かって否定することはできずに、何が言いたいのか不明確な社説を書いている。 それに対して、毎日新聞は判決文をろくに読まずに、原告の言い分そのままの社説を書いている。 いや、原告でさえ言っていない支離滅裂な主張を展開している。

薬の副作用と因果関係がある可能性ないし疑いはあるが、完全には断定できないので法的な不法行為はない--。 そう言われたら訴訟など起こせなくなると薬害被害者は思うに違いない。 イレッサ訴訟東京高裁の判決はそういう内容だった。

副作用と健康被害の因果関係を立証するのは簡単ではない。 しかし、因果関係が必ずしも確定していなくても被害防止を優先する方向性で薬事行政の改革は進められてきた。 数々の薬害の犠牲を踏まえて獲得されてきた成果とも言える。 そうした薬の安全対策の歴史を押し戻すかのような判決だったのだ。

社説:イレッサ高裁判決 安全対策に逆行する - 毎日新聞

判決で「可能性ないし疑い」とされた因果関係の対象は「健康被害」ではなく承認前の副作用情報である。 東京高裁判決では、1名を除いて副作用と健康被害の因果関係があると認定しているのだ。 判決文を読んでいないからこんな初歩的な取り違えをする。

東京高裁判決は「そうした薬の安全対策の歴史を押し戻すかのような判決」でもない。 東京高裁判決は「因果関係が必ずしも確定していなくても被害防止を優先する方向性」を否定していない。 可能性を確定を区別することを認めただけであって、可能性を無視して良いとは一言も言っていないのだ。 「因果関係がある可能性ないし疑いはある」にとどまるなら重大な副作用欄に記載しなくて良いとは、判決文の何処を探しても書いていない。

一転して原告敗訴となった東京高裁判決を弁護団はこう批判する。 「承認当時の国と製薬会社が薬事法で求められている義務を尽くしたかどうかが問われている訴訟なのに、薬事法や添付文書の記載要領が求める基準とまったく異なる基準を採用した判断で、このようなことは被告側の国や製薬会社ですら主張しておらず、裁判の争点でもない」

社説:イレッサ高裁判決 安全対策に逆行する - 毎日新聞

原告が言うような「薬事法や添付文書の記載要領が求める基準とまったく異なる基準」は東京高裁判決の何処にもない。 むしろ、「まったく異なる基準」を示したのは地裁判決の方である。 そもそも、「薬事法で求められている義務を尽くしたかどうか」は製造物責任法とは無関係である。

そもそも1審の主な争点は、承認当時のイレッサの添付文書には副作用の間質性肺炎が目立たない所に記載されていたことの妥当性についてだった。 国に対する賠償請求を棄却した大阪地裁判決ですら「添付文書の重大な副作用欄の最初に間質性肺炎を記載すべきであり、そのような注意喚起が図られないまま販売されたイレッサは抗がん剤として通常有すべき安全性を欠いていたと言わざるを得ない」と指摘した。

ところが、東京高裁は目立たない所でも記載されていれば妥当とする判断を示した上、「目に訴える表示方法を違法性の判断基準とするならば、それはがん専門医の読解力、理解力、判断力を著しく低く見ていることを意味するのであり、真摯(しんし)に医療に取り組む医師の尊厳を害し相当とは言えない」と断じた。 現実には専門医らの処方によってイレッサ販売後に多数の患者が間質性肺炎で死亡しているのにである。 しかも販売当初の添付文書には、専門医に使用を限定するとの記述はなかった。

社説:イレッサ高裁判決 安全対策に逆行する - 毎日新聞

「東京高裁は目立たない所でも記載されていれば妥当とする判断を示した」は完全な捏造である。 東京高裁は、重大な副作用欄は「目立たない所」ではないと認定したのだ。 判決文が示した専門医であれば読み取れるとした根拠を批判しないなら、「専門医らの処方によってイレッサ販売後に多数の患者が間質性肺炎で死亡している」は、判決文の言うように専門医の医療ミスである。 だいたい、次の二つを並べたら何を言いたいのか意味不明である。

  • 「専門医らの処方によってイレッサ販売後に多数の患者が間質性肺炎で死亡している」
  • 「しかも販売当初の添付文書には、専門医に使用を限定するとの記述はなかった」

「専門医らの処方」による死亡を問題にするなら、「専門医に使用を限定するとの記述はなかった」は関係があるまい。

地裁判決後の情報操作 

イレッサ大阪地裁判決に関して、大手新聞社は、何処も、判決文も法律の文面も全く読まずに偏向報道を繰り返している。 社説と称して意見を掲載するなら、せめて、判決文くらいはじっくり読んだらどうか。 「国の行政指導に問題があったことを認めた」とか、「最高裁判例に、国は救われた格好」とか、「国の責任を認めた和解勧告から後退した」とか、原告の言い分を丸ごとコピーして、あたかも自社の独自の主張であるかのようにそのまま掲載している。 これらは、ちゃんと判決文を読めば直ぐに間違いだと分かることである。

イレッサ訴訟大阪地裁判決の解説(原告敗訴)のとおり、原告の主張は悉く退けられている。 大阪地裁は、判決の元になる事実を次のように認定している。

  • 承認時も現在も、イレッサの有効性は肯定できる。
  • 承認時も現在も、イレッサが通常有すべき安全性を欠いたとは認められない。
  • 被告側が情報を独占していようとも、イレッサの有用性の有無の立証責任は原告側にある。
    • 腫瘍縮小効果(抗腫瘍効果)を代替評価項目として有効性を評価することは妥当。
    • 重篤な副作用の発症をもって,直ちに製造物の欠陥を推認することは認められない。
  • 間質性肺炎より前に書かれた副作用がいずれも致死性のものであった
  • 承認当時の国内のデータでは、承認用量での間質性肺炎の発生は0件だった
  • 承認当時、データ上の発生頻度では肝機能障害や下痢が多く、間質性肺炎の頻度は予測不可能だった
  • 製造物責任法上の指示・警告として製薬会社が直接患者に対して情報を提供することは予定されていない。
  • 第1版添付文書が作成された当時、第9版添付文書が前提としている医学的・薬学的知見が存在したとはいえない

このように大阪地裁判決では原告側の主張はほとんど退けられているのであるが、各社の報道では、そうした重大事実について一切触れていない。 原告側の主張はほとんど退けられたからこそ、国の責任が否定されたのである。 それでも、製薬会社の責任が認められたのは、3つの初歩的な誤審にある。

  • 原告に「欠陥」と損害の間の因果関係の立証責任があると認めながら、因果関係の検証をど忘れした
  • 2つの最高裁判例を無視して、医師の義務を果たさない者を「平均的な医師」として認めた
  • 地裁自身が認定した事実と矛盾する「知見」を何の根拠もなく認定した

この程度のことは判決文を読めば誰にでも分かることである。 それなのに、新聞各社は、判決文を読めば分かる事実を報じずに、原告の言い分を何ら精査することもなく、あたかも自社で独自に調べた事実であるかのように報じている。 何時から新聞は特定勢力のプロパガンダ媒体に成り下がったのか。 各社が原告の言い分をそのまま垂れ流す中、京都新聞の社説は割とマトモだった(ただし、「割と」でしかない)。

判決は国の違法性は認めなかったものの「必ずしも万全な対応ではなかった」とも述べた。1月の和解勧告(被告側が拒否)では患者や遺族の救済を求めたことも考慮すれば、副作用情報の周知徹底や被害者救済策など国の役割も大きいことを忘れてはならない。

社説 イレッサ判決 副作用情報、より詳しく - 京都新聞

「国の行政指導に問題があった」は判決文にない余計な意味を付け足しているが、「国の役割も大きい」ならば余計な意味は足されていない。 京都新聞も肝心な問題に踏み込んでいない点では他社と同じだが、少なくとも、原告のプロパガンダ媒体には成り下がっていない。

何故か医師を検証しないマスコミ 

抗がん剤の専門知識に乏しい医師が処方した例もあったとされる。医師の不勉強があったのなら、それは問題だ。

イレッサ判決が求めるもの - 日本経済新聞

と、ここまで書いておきながら、何故か、原告の主治医等の行為は一切検証しない。

企業と国は「順番は問題ではない」とし、被害を招いた責任は薬の特性を理解しないまま処方した医師にあるというような主張をしてきた。
果たしてそうだろうか。

社説 イレッサ判決―情報はなぜ届かなかった - 朝日新聞

「果たしてそうだろうか」と書いてあるのだから、当然、この先に「薬の特性を理解しないまま処方した医師にある」かどうかの検証があると思うだろう。 ところが、この先、「処方した医師」の行為については、一切言及されていない。

原告の主治医の行為を検証したいなら、原告が公開している訴訟資料を調べるだけで済む。 この程度のことは新聞記者でない素人にも出来ることである。 新聞記者なら、それを複数の抗がん剤専門医に見せて意見を聞くこともできよう。 とくに、医師の責任を否定している朝日新聞は、医師の行為を検証する社会的責任があるだろう。 どうして、それをしないのか。 それは、自分たちが書きたいシナリオにとって都合の悪い事実が出て来る(もしくは、既に調べて、都合の悪い事実が出て来た)からではないのか。

イレッサ訴訟原告が医師を訴えない謎で示したように全ての副作用死が医師の過失とは限らないが、少なくとも、殆どの原告のケースは明らかに医師の過失である。 原告の主治医は、何ら根拠もなく「それほど大した副作用はないと思いますよ」と言い、副作用への警戒を完全に怠り、いざ副作用が生じても添付文書等を参考にすることもなく、ただ、何もせずに死ぬまで様子を見ていただけである。 マトモな医者なら、これより少しはマシな対応をとっているだろう。 どう贔屓目に見ても、原告の主治医は「医療現場においてこれを使用することが想定される平均的な医師」よりも大きく劣っている。 さすがに、ここまで酷いケースは珍しい。 このケースにおいて国や製薬会社の責任を問うのは医師の責任転嫁以外の何物でもない。

何故か背景事情に触れないマスコミ 

マスコミは、イレッサがもてはやされた原因であるがん難民とその発生原因(腫瘍内科医、放射線医、施設の不足、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・レスの問題等)、似非療法が蔓延っている実態等についてほとんど触れていない。 わずかに、ドラッグ・ラグについて触れてはいるが、その原因については一切踏み込まない。

本日の,日本経済新聞の社説を読みました.イレッサ訴訟の経緯を詳しく解説し今回の判決にいたった点を解説しています.どうも,判決を評価している雰囲気なんですね.そうですか,判決を評価,だったら多少のドラッグラグに甘んじて慎重に認可せよと,そういう主張なのかのと思いきや最期の一文

日本はもっとドラッグラグの解消に努めねばならない

思わずコーヒーを吹きました.これじゃ小学生の作文ですな.なんというムシのいい話ってきがつかないのだろうか?それとも知っていて言っているのか.

繰り返しますが新薬の申請はそもそも製薬会社が新薬販売の申請を厚労省に出すことからはじまるのです.つまり,厚労省は申請があって始めて認可という手続きに入る.製薬会社がそもそも申請していなければ,認可なんてないのです.

で,日本経済新聞さん,質問です.

経済の原理,企業のマインドとして,海外にしても国内にしても製薬会社が今回の判決が出てくるような日本の事情で,ほいほい新薬認可を日本に申請するでしょうかね?

ドラッグラグというものは単に行政の認可の遅れということだけではないのです.製薬会社やデバイスメーカーが日本での販売を躊躇しているという現実もあることを忘れていませんか?

イレッサ判決について:日本経済新聞社の社説を読む - 急性期脳卒中の前線から

現実には、ただ承認が遅れるだけのドラッグ・ラグどころか、永久に承認の見込みのないドラッグ・レスの問題がある。 ドラッグ・ラグは、製薬会社に便宜を図り、申請したくなるような動機付けをすることで、少しは解消が見込めるだろう。 しかし、ドラッグ・レスについては、製薬会社に便宜を図っても手遅れであり、現在、有効な対策は全く打ち出されていない。 多数のがん難民が発生したからこそ、多数の医師や患者が「夢の新薬」に飛びつきたくなったのである。 こうしたがん難民問題こそがイレッサ需要増大の主原因であり、それは誰が悪いとか特定の個人の責任ではない。 また、イレッサは、似非療法を生業とする医師も多数が手を出している。 そうした不心得な医師によって被害が拡大した則面もあるだろう。 しかし、日本のマスコミは、こうした問題には全く無関心である。 実情も調べず、具体的な方策も提示せず、ただ、無責任に「ドラッグラグの解消に努めねばならない」と言うだけである。 こうした問題の解決には何ら寄与することもなく、問題解決に逆行する無意味な糾弾のみを行なっている連中(原告とその取り巻き、及び、マスコミ)に、ドラッグ・ラグを解消せよと言う資格はない。 こいつらは、今も真摯に問題解決に取り組んでいる患者団体の皆様の足を引っ張っていることに対して、どんな申し開きをするつもりなのだろうか。

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