いわゆる『下書き』提供問題調査報告書声明に対する声明
声明
本日、イレッサ訴訟の弁護団は、いわゆる『下書き』提供問題に関して、声明を公表した。
一方、厚生労働省が公表した報告書により、少なくとも、厚労省による『下書き』の提供を伴う学会見解の公表要請が、
学会にもともとあった意見が公表されたにすぎず、不当な圧力があったとまでは断定できない
和解批判、6学会に働き掛け=事務次官に注意、局長を訓告-イレッサ訴訟・厚労省 - 時事ドットコム
ことが明らかとなった。
にもかかわらず、弁護団の声明は、「厚労省の職員が、自省の利益の観点からメディア対策を行うために、学会等に見解の公表を求めた」「調査報告書には、厚労省が国民全体の利益を守るべき公共の立場にあるという視点が欠落」「本件訴訟があたかもがん患者全体の利益に反するかのような世論誘導を行い」としている。
このような評価は、常識に反し、到底受け入れられるものではない。 弁護団の声明には、自分達の訴訟戦術が原告の権利の範囲を逸脱しているという視点が欠落しており、 また、本件訴訟があたかもがん患者全体の利益に沿っているかのような世論誘導を行い、 原告の訴訟戦術の被害者であるがん難民に二重の苦しみを与えたことに対する反省は全く見られない。
当会は、当Webサイト上で公表した「イレッサ声明文案下書き問題(世論誘導)」において、 この問題は、原告の書いた下書きを丸写しして報道しているマスコミ報道の方が重大な問題だと指摘したが、 弁護団の声明は、正にお手盛りの自己主張の限界を露呈したものといえる。
当会は、この問題の解明を厚生労働省に委ね、新たに、マスコミ報道の下書き問題の徹底調査を求めるものである。
弁護団への反論
報告書を受け、イレッサ訴訟の弁護団が厚労省で会見し「裏で学会に見解の公表を求め、世論を誘導しようとした行為を『通常の職務の範囲内』としたことは全く理解できない。外部委員の再調査が必要だ」と批判した。
弁護団は訴訟を有利に導くため、「世論を誘導」したかのように世論を誘導したいのだろう。 しかし、他の患者に不利益を及ぼすような詭弁戦術を用いる弁護団がこのようなことを言っても白々しいだけである。
にもかかわらず、調査報告書は、「考察」において、厚労省の職員が、自省の利益の観点からメディア対策を行うために、学会等に見解の公表を求めたことは「通常の職務執行の範囲内」であり、 また働きかけの結果、「公表された見解自体に不当な影響力が及んでいたとまでは認められない」とし、『下書き』の提供についても、「過剰なサービス」であり「行き過ぎた行為」であったとするにとどまっている。
あたかも、調査報告書に「自省の利益の観点からメディア対策を行うために、学会等に見解の公表を求めた」と認定されたかのように書いてあるが、これは、真っ赤な嘘である。
確かに、
自省の利益の観点からメディア対策を行うことは、公務員としての公正な職務の執行といえるのか問題となる
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書 - 厚生労働省
とする記述はある。
しかし、これは、「公務員としての公正な職務の執行といえるのか」を判断する基準として、「自省の利益の観点からメディア対策を行」ったとしても、「その目的ゆえに直ちに不当であったということはできない」としているだけに過ぎない。
これは、前提事項としての判断基準について述べているだけであって、事実関係として「自省の利益の観点からメディア対策を行うために、学会等に見解の公表を求めた」と認定したわけではない。
むしろ、その直前の段落(数行前)に、下書きを提供した目的として
3(認定した事実)の(3)および本件職員らの供述などによれば、本件職員らの行為の目的は、和解勧告の受諾に積極的な意見が多数を占めるメディア対策として、慎重な意見が多いと思われる複数の学会に対して見解の公表を求めることにより、国民に対し、多様な意見が存在することを示し、かつ、厚生労働省の従前の施策に対する信頼感を高めるところにあったと認定することができる
イレッサ訴訟問題検証チーム調査報告書 - 厚生労働省
とはっきりと明記してあるのである。
よって、「自省の利益の観点からメディア対策を行うために、学会等に見解の公表を求めた」は、原告団による完全な捏造である。
尚、性懲りもなく、日本経済新聞は 原告の下書きを検証せずにそのまま掲載 している。 今回は、他の新聞は、記者自ら調査報告書に目を通して記事を書いていることが伺える。 とくに、時事通信、読売新聞、毎日新聞は中立的な立場を貫こうとする努力が見られる。 しかし、日本経済新聞だけは、あいかわらず、原告のプロパガンダ誌に成り下がっている。 日本経済新聞の記者は調査報告書を自分で読まないのだろうか。
このような評価は、常識に反し、到底受け入れられるものではない。 調査報告書には、厚労省が国民全体の利益を守るべき公共の立場にあるという視点が欠落しており、 また、本件訴訟があたかもがん患者全体の利益に反するかのような世論誘導を行い、被害者である原告に二重の苦しみを与えたことに対する反省は全く見られない。
「本件訴訟」が「がん患者全体の利益に反する」ことは疑う余地がない事実であり、それは、弁護団がそのような訴訟戦術を用いているからである。 それに対して、厚生労働省が「学会等に見解の公表を求めた」ことは、「自省の利益の観点」とは無関係な「国民全体の利益を守るべき公共の立場にあるという視点」によって行なわれたのである。 これを「通常の職務執行の範囲内」と認定したことは極めて妥当な判断である。
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